虐待とは何?

見たくない、聞きたくない、知りたくない。
児童虐待って何!?~相談事例から考える虐待の実態~

厚生労働省のまとめによれば、親などから、子どもが虐待を受けたとして、児童相談所が対応した件数は、今年1月から半年間で9万8814件に上っていることがわかりました。
これは過去最多のペースで、虐待の件数は年々増加していて、今年の上半期は、去年の同時期よりも10%上回っています。

児童虐待とは?
大きく分けて、児童虐待は4つに分類されています。それぞれの虐待について、日本ららばい協会が相談を受けた事例も含めて紹介していきます。

身体的虐待
殴る、蹴る、激しく揺さぶる、首を絞める、など身体に苦痛を与える虐待をさします。保育所や学校で「痣がある」「傷がある」などと、保育士や教師が見つけることも多く、比較的見つけやすい虐待です。

相談事例

  • 「私の親戚の16歳と13歳の兄弟の話です。母親は、再婚して新しい父親ができました。最初は上手くやっていたのですが、やがて義父による暴力が始まりました。母親は必死に止めましたが、やがてそれは、母親へのDVに。最終的には、母親と兄弟が一致団結して闘いましたが、一家の収入は義父が稼いでくるのみ。お金をくれないため、経済的にも困窮していました。
    思い余った兄弟は、家に放火。ぼやで済みましたが、兄弟は大やけどを負い、二人は児童養護施設に預けられたのです。母親は行方不明に。二人の心の傷をなんとかして埋めてあげたいのですが、どうしたらいいでしょう」
  • 「大学院まで卒業して、一流商社に入ったのに、子どもができて結婚することになりました。仕事を辞めて家庭に入りましたが、娘がかわいいと思えず、育児は大混乱。実家の母が手伝いにきていました。2歳になった頃から、娘が食事やおやつをこぼすと猛烈に怒りを感じました。一生懸命私が作った食事をこぼすのですから。
    こぼすと、手をびしっと叩くまではよかったのですが、次第にエスカレート。雑巾を顔に投げつける、両頬を往復ビンタ。それが夫に見つかってしまい、娘とは離されました」
  • 「父はお酒を飲まなければ、優しいいい人なのですが、深酒をして帰宅。帰ってくると、毎晩のように寝ている私と弟を起こして、正座させます。酔った顔で、今日学校で何があったんだ、と聞き、眠くて黙っていると、立たせて蹴飛ばします。脛の部分は青あざになり、翌朝まで残っていることも。母は見ているだけで、止めようともしません。自分に暴力が向くのが嫌だからです。私は学校の先生に痣を見せて相談しました。学校から児童相談所に連絡が行き、父とは離されました。仕返しにきそうで怖いです」

心理的虐待
いわゆる言葉による虐待です。大声を出して子どもを威嚇する、脅すことで恐怖に貶める、無視をするなど、精神的に圧迫します。兄弟で差別する、夫婦間のDV(ドメスティック・バイオレンス)を目の前で見せる(面前DV)も含まれます。

相談事例

  • 「私は、娘を見ていると、急に激高してしまうことがあります。例えば、おもちゃをかたづけなさいと何度も言ったのに、片づけないからです。“こんなにいうことをきかない〇〇(娘の名前)は家にいないほうがいい。出て行って”などと言ってしまいます。娘は悲しくなって、大泣きしながら、しぶしぶおもちゃを片付けます。毎日がその繰り返しです。
    私自身が、母親からそう言われて育ちました。怒られると“お前なんか死んでしまえばいい”“いないほうがいい”と必ず言われました。悲しかったのを想い出します。
    過去を思い出し、言わないでおこうと努力しているのですが、どうしても罵倒せずにはいられません。虐待に発展しそうです」
  • 「母親は、一つ上のお姉ちゃんばかりをかわいがります。お姉ちゃんは、小学校の成績もよく、運動会では足が早いのでリレーの選手に選ばれ、代表で挨拶をするなど、お母さんにとっては自慢の子みたいです。お母さんは、食事でもお姉ちゃんのことをひいきして、トンカツが1枚多いとか、差をつけます。
    誕生日のケーキは、私のは小さなケーキをスーパーで買ってくるのに、お姉ちゃんのときは、手作りで、一緒に楽しそうに作ります。私が話しかけても、お母さんは聞こえなかったように無視します。そのことをお父さんに言うと、“そんなことないだろ”と言います。絶対に無視してると思うんですが」
  • 「コロナでお父さんが家で仕事をしていたとき、すごく怒られました。来年、中学受験をするのですが、分からないところが多く、お父さんに“この問題を教えて”というと、“こんなのも分からないのか、バカ”と言われます。普段は塾があるので、そこできけばいいのですが、塾は休み。分からないから聞くのに、バカ、まぬけ、能力なしと、次々にひどい言葉が出てきます。そして“こんなふうでは、受験しても受からないから、もうやめろ”とまで。お母さんは“そんな言い方しないで”とかばってくれますが、虫の居所が悪いらしく、ぼくを責めます。どうしたらいいのでしょうか」

ネグレクト
家に閉じ込める、食事を与えない、治療が必要なのに医者に連れて行かない、車の中に放置する、など、月齢の低い赤ちゃんや幼児に起こりやすい虐待です。

相談事例

  • 「隣りに住んでいる夫婦は子どもがいるはずなのに、子どもの姿が見えないのです。おせっかいですが、NPOで相談員をやっている私は、なんとなく嫌な予感がして、強引に隣家に上がり込みました。そこで唐紙をあけて見えた光景は、今でも忘れられません。犬猫を入れるようなペットサークルに1歳になったばかりの子が入り、サークルの中には、茶色くなったバナナとおせんべいのかけら、干からびたビスケットがありました。哺乳瓶には腐ったようなにおいのする牛乳が入り、汚れたままのおむつもありました。犬猫を捨てる以上にひどい環境で、赤ちゃんの捨て場みたいでした。
    放置はいつからしていたのか。言葉が話せない子のネグレクトは地獄のようでした」
  • 「児童養護施設に勤めていますが、先日入所してきた2歳の幼児は、かなり酷い生活を送っていたようです。カップ麺とお菓子が主食だったらしく、清涼飲料水、コーラが与えられ、ご飯もおかずも食べたことがなかったようです。こんな生活をしていては、虫歯だらけだろうと予想していたら、歯がはえてこない。髪も伸びてこない状態。食事の席に着かせて“おいしい?”と聞いても、まったく何を言っているか、分からない状態。本当に恐ろしいと思いました」
  • 「一時保護で我が家にやってきた2歳の女の子は、畳のへりを越えて、こちら側に来ることも向こう側に行くこともできませんでした。インテリで一流企業に勤めていた母親は、自分の家で“この線からこっちにこないで”と言って育てたそうです。こっちに来てはいけないと母親から言われれば、子どもは従います。食事は菓子パンなどを投げつけて、近づくこと抱くことさえも拒んだようです。おむつは4歳の姉が替え、結局姉妹はネグレクトされて育ち、見かねたおばあちゃんが児童相談所に連れていきました。このへりを越えさせるのには、時間がかかりそうです」

性的虐待
子どもへの性交や性的行為の強要、子どもに性器を見せることなどに代表される虐待です。外からは見えにくく、本人が自ら告白して初めて発覚することもあります。また何年もあとになって、あれが性的虐待だったと分かるケースも。実際には幼少期から実父や義父によって発生しています。

相談事例

  • 「18歳女子です。小学校3年生頃から、父親が体を触ってくるようになりました。局部にも手を入れるようになり、私は嫌だなあと感じていました。何度もされるので、勇気を出して母親に相談すると、“お前がいやらしい考えを持っているから、そうやって疑うんだ”と、私のことを白い目で見るようになったのです。
    父は母が買い物に行った留守を狙って抱きついたり、首にキスをしたりします。羽交い絞めにされたときは、本当に怖かったです。
    学校の先生にも相談しました。先生は母親を呼んで、3人で話したのですが、母親は私の思い過ごしと言い張るのみ。先生は“お父さんはあなたの幼少期の可愛さが忘れられずに、ふざけているのでしょう”と結論づけました。
    私は父と二人になるのを避け、家にいないようにしました。両親は外出がちになった私を“色気づいて常軌を逸している”と非難。その後、私は家を出ました。父は、いまだに私の下着を抱いて眠っているそうです。こんな異常な家族どうしたものでしょう」
  • 「夫と離婚して、息子と私は母子家庭です。夫代わりに何でも相談しながら、仲良くやってきました。なんでも話す関係なので、思春期になると、性衝動の悩みも話すように。私は独占欲からか、息子と性関係を持つようになり、いわゆる近親相関の状態に。私は、息子が外で変な犯罪を起こさないようにと、私と性交することで息子がすっきりすればいいかと考えたのです。息子は当然いけないことと認識していますが、私は気持ちがいいので、息子が嫌がらなくなるまでは、この状態で良いと思っています。だめでしょうか」
  • 「38歳の女性です。叔父から性的虐待を受けていたことを今になって自覚しました。叔父は小さい頃から私をかわいがり、デパートやコンサートによく連れて行ってくれました。同居していたので、家に帰ると一緒にお風呂に入ります。すると湯船の中で必ず股を触ってきて、“気持ちいいでしょ?”と聞いてきました。そして自分の局所を握らせました。私は気持ちが悪くて……。その後も何度もそういうことがあって、母に言うと“まさか”と信じてくれませんでした。
    叔父は若くして亡くなったのですが、私は今頃になって、あの光景が思い浮かびます。精神科を受診すると、あのときのことがトラウマになっていると言われました。成人になって、あのときの出来事がまさか多重人格という形で出てくるとはーー」

母親の7割は虐待予備軍と言われています。
次回は自分の気持を整理しながら行なう「あなたもできるカウンセリング」を紹介したいと思います。

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